マカヒキの凱旋門賞制覇に立ちはだかる、恐るべき欧州の強豪馬たち (2ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu  photo by AFLO

 差し切るのに手こずったようにも見えたのは、レース全体が後半のスパート勝負になったことによるもの。さらに、右後肢を落鉄していたのだという。大きな着差で圧倒することこそなかったが、馬場と極端なスローペース、さらにアクシデントを乗り越えて海外遠征初戦を見事に飾り、本番に向けて弾みをつけた。むしろ、「久々の競馬で、しっかりと併せ馬で追ってほしかった」と考えていた友道康夫調教師にしてみれば、注文どおりの展開をしっかりとこなし、合格点を大きく上回るパフォーマンスだったといえよう。

 しかし、凱旋門賞といえば、自身の父ディープインパクト(2006年)やオルフェーヴル(2012、13年)らが跳ね返され続けた高い壁。同じように前哨戦のニエル賞で同世代の英ダービー馬ルーラーオブザワールドや、下馬評の高かった地元のフリントシャーらを下して本番に臨んだキズナも、結局厚い扉をこじ開けることは叶わなかった。ここから本番までの3週間は、これまでの日本調教馬に足りなかった残りの1ピースがマカヒキに求められる時間となる。

 とはいえ、残りの1ピースはマカヒキ自身ではなく、相手関係によるところも大きい。

 この週末、各地で相次いで行なわれた前哨戦のうち、もっともメンバーが揃っていたのは9月10日に行なわれたアイリッシュチャンピオンステークスである。ここには前述の仏英を代表する3歳牡馬2頭のほか、昨年のGIブリーダーズカップターフ(アメリカ・キーンランド競馬場・芝2400m)の勝ち馬ファウンド(牝4/父ガリレオ)、昨年の仏ダービー馬ニューベイ(牡4/父ドバウィ)、さらに3歳にしてGIを6勝のマインディング(牝3/父ガリレオ)といった、凱旋門賞でも有力馬と目されている面々が揃って出走した。下馬評ではハーザンドとマインディングの英国クラシック勝ち馬が人気を分けあっていたが、これらを後方一気でまとめて破ったのが、アルマンゾルだった。

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