セントウルSで穴をあけるのは、
「千直」経験で競馬を覚えたネロ

 こちらはビッグアーサーとは対照的に、牡馬ながら440kgそこそこの小柄な馬。そのため、牝馬のような一瞬の鋭い決め手が使えるタイプです。

 今回もおよそ7カ月の休み明けと、体質的な弱さはあるものの、小柄な分、仕上がりは早いと思います。しかも、別定戦のここは、ビッグアーサーとは2kgの斤量差があるので有利です。再びビッグアーサーに先着してもおかしくありません。

 さて、出走頭数が少ない割には好メンバーがそろい、意外と難解なレースとなったセントウルS。穴をあけるとしたら、人気の盲点となりそうなネロ(牡5歳)でしょうか。今回はこの馬を「ヒモ穴馬」に取り上げたいと思います。

ここに来て、その走りに進化が見られるネロここに来て、その走りに進化が見られるネロ 栗東の坂路調教で驚くほど速い時計を記録するように、相当なスピードの持ち主であるネロ。一番時計をマークすることも頻繁にあります。ただ以前は、スピードはあるものの、一本調子で終(しま)いが甘くなる競馬が多かったと思います。

 それが昨年、新潟の千直のレースを走るようになってから、少しずつ競馬の内容が変わってきました。

 千直のレースというのは、コーナーもなく、直線だけのシンプルな短距離戦。内、外の枠順の差はありますが、コーナーがないため、他馬の影響を受けにくく、自分のタイミングで競馬に徹することができます。しかし、そこで結果を出すためには、スタートのうまさはもちろん、息の入れ方、そのタイミング、さらには脚のタメ方など、さまざまなことが要求される奥の深いコースなんです。

 そうした千直特有の競馬、レースを経験してきたことで、ネロは競馬を覚えて、それまで一本調子だった走りも解消され、大きく成長したのだと僕は思っています。昨年、初めて千直(アイビスSD)に挑んで勝ったベルカントからも、その後の走りを見てそんな雰囲気を感じましたし、先日引退したハクサンムーンも、3歳時に千直のアイビスSDに挑戦したことが、その後の活躍につながったと思います。

 千直を経験して、少しずつタメが効くようになってきたネロ。前走のアイビスSD(2着)でも、決してスピード任せの競馬で押し通すことはありませんでした。ある程度タメながら速い脚を使って、終いもきっちり伸びて、差し返すような走りを見せました。こうなってくれば、調教だけでなく、実戦でも1番になれるかもしれません。

 前走よりメンバーが強力になるので、人気は落ちると思いますが、侮れない存在です。どんな走りを見せてくれるのか、楽しみです。

大西直宏オフィシャルブログ>

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