起死回生の一発!? 「旅打ち」
最後の勝負にひと筋の涙がつたう

  • 土屋真光●旅人 Traveler&text&photo by Tsuchiya Masamitsu

 名古屋駅に着いたら、すぐに東海道線の浜松行きに飛び乗った。「ふぅ~、やっと帰れる」と思って座席に座った。目を瞑り、この旅がやっと終えられることに安堵した。

 これまでの「旅打ち」の思い出がよみがえってくる。笠松競馬、小倉競馬、佐賀競馬......、それぞれの勝負、それぞれの場所で出会った人や、美味しかった名物が頭の中に浮かんでくる。

......ん? おかしい。なぜか、列車がいつまで経っても出発しない。そこへ、車内アナウンスが響き渡る。

「ただいま、集中豪雨のため、運転を見合わせております。運転再開の目処は立っておりません」

 なんだとぉ~!? せっかく家路につけると思ったのに......、もしかしてこれも「ブラック媒体・スポルティーバ」の陰謀か!?

 気がつけば、電車に乗ってから1時間近くが経過しようとしていた。一向に運転が再開する気配がない。どうする......、そのとき佐賀競馬場へ向かう途中、「青春18きっぷ」と一緒に今夜の『ムーンライトながら』の指定席券を買っていたことを思い出した。それなら、東京に向かう途中で、終電がなくなって降ろされる心配もない。

 我ながら、土壇場の強さには自画自賛したくなるほどだ。

『ムーンライトながら』が名古屋を出発するのは、23時20分頃。それまで、サウナでひと休みすることにした。

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