起死回生の一発!? 「旅打ち」最後の勝負にひと筋の涙がつたう (3ページ目)

  • 土屋真光●旅人 Traveler&text&photo by Tsuchiya Masamitsu


締め切り間際に追加で購入した馬券締め切り間際に追加で購入した馬券 ゲートが開いた。まず先手を取ったのは、びた一文買っていない1番サマーサラファン。人気の6番コスモアルドラは3番手につけ、ワシの"本命"9番ブランニューはコスモアルドラをマークするような形で続く。

 4コーナーを迎えて、コスモアルドラとブランニューが前に迫る。脚色がいいのは、ブランニューだ! コスモアルドラをねじ伏せるようにして先頭に立った。そして、2頭の続く3番手争いには、後方から5番ナタリーが伸びてきた。

「いけぇ! そのまま、そのまま!!」

 ゴール板の前まで来て、競馬場全体に響き渡るかのような絶叫を上げるワシ。目の前を、9番、6番、5番の馬が順に通過していく。

「ヨッシャー!!」

 再び、雄叫びを上げ、天を見上げた。ひと筋の涙が頬をつたう。

 馬券を買い間違えるという逆境にありながら、ギリギリのところで的中馬券を仕留めたのだ。3連単の配当は、2210円。財布の中に福沢諭吉が戻ってきた。

「さあ、帰ろう!」

 ワシはホクホク顔で名古屋競馬場を後に、急いで名古屋駅に向かった。まだ日が暮れる前。この時間なら、「青春18きっぷ」を使って東海道線で帰っても、その日のうちに東京に帰ることができる。早く帰って、久々の我が家でゆっくりしたい。

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