西の「旅打ち」は、オグリキャップを
生んだ笠松競馬の特別席から

  • 土屋真光●旅人 Traveler&text&photo by Tsuchiya Masamitsu

 さあ、暑さから逃れたところでいよいよ勝負である。パドックを見て、レースの検討に入る。

 笠松競馬場のパドックは世界的にも珍しい、レースで使うコースの内側にあるスタイル。そのため、観客はコースを挟んで離れた場所の様子を見ることになる。こういうときは、自席にモニターがあるのは便利だ。

各席にモニターがある「特別観覧席」。笠松競馬場はコースの中にパドックがある(写真左上)各席にモニターがある「特別観覧席」。笠松競馬場はコースの中にパドックがある(写真左上) 手もとの新聞とモニターを交互に見つつ、導きだした本命は、2番人気のデルマタクミノカミ。成績も安定しており、タイムの比較も悪くない。さらに鞍上は、名古屋の女性ジョッキー「葵ちゃん」こと木之前葵騎手。まだデビュー4年目と若いが、昨年はイギリスの招待競走で海外初騎乗初勝利を飾っている。ワシの「旅打ち」の船出を飾る、幸運の女神になってもらおう。

 本命から3頭に馬連複を購入した。

 葵ちゃんのデルマタクミノカミは、序盤は中団よりやや後方を追走。先行有利な地方競馬においてはかなりドキドキする位置取りだ。しかし、3コーナー辺りから徐々に進出し、4コーナーでは先行勢を射程圏内にとらえた。

「おーし、こい!」

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