予算は5万円。西へ行く「夏競馬の旅」は、地獄か、極楽か (4ページ目)

  • 土屋真光●旅人 Traveler&text&photo by Tsuchiya Masamitsu

 名古屋駅近くのバスステーションに到着したのは、朝6時頃。そして、ひとっ風呂浴びるために、冒頭のサウナに行って、笠松競馬へ出陣する前の英気を養っていた。

 そこへ、スポルティーバの編集担当Tから着信。発信番号は編集部からではなく携帯からだった。こんな朝早くから珍しい。

「ツッチー? おはよう。昨日さあ、5万円、振り込まれていたでしょ?」

「ああ、その節はありがとうございます。いやぁ~、5万円とはいえ、ボーナスもらっちゃって恐縮です」

「え? 何言ってんの? ボーナスなんか出るわけないじゃん。ちょっとそのお金でさ、『旅打ち』に行ってきてよ。そうだなぁ、4箇所くらい。JRAの新潟と小倉がちょうど明日から始まるでしょ。そのどっちかを絡める感じで」

 えッ!? 「何言ってんの?」はこっちのセリフだよ。「このおっさん、何言ってんだろう」と思った。

 どうやらスポルティーバの企画で、5万円を軍資金にして『旅打ち』をして来い、というのだ。しかも、移動費、宿泊費を5万円でまかなうだけでなく、各地の名物も食ってこい、と。さらに「足りない分は、馬券で稼いで」だと。

 いやいや、稼げなかったら、帰れないし、傷口を広げるばかりじゃないの!? 「急にそんなの無理です」って、平にお断りした。が、そんなことお構いなしに、編集担当Tが言う。

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