帯広へ向かう車窓から、ばんえい競馬の行く末に思いを馳せる (2ページ目)
札幌を出たのは、午前7時少し前。1時間半ほどで滝川に到着し、ここでさらに1時間ぐらい待って釧路行きの普通電車に乗った。
その普通電車、いかにも使い込んできた、という古ぼけたものだった。なにしろ、今どきの電車なのに冷房がない。あるのは、あまり役に立っていそうもない送風機のみ。そのため、乗客は電車に乗るやいなや、誰もが一斉に窓を開ける。
時代が一気に高度成長期に戻ったような感じだ。
電車の窓から見える、のんびりとした光景も悪くないそれでも、列車が動き出してしばらく走ると、ワタシは軽い感動を覚えてしまった。半分ほど開けた窓から入ってくる風が、なんとも心地よいのだ。作りものではない自然の風がもたらす、本物の心地よさだった。
窓の外に広がる、何の変哲もない緑一色の光景にも、どこか「北海道、いいでしょ?」と語りかけてくるような、しみじみとした味わいがある。
"北回り"だって、悪くない。
「旅の不便さは、旅の楽しみをつくる」──誰にも選ばれない"北回り"がそのことを教えてくれた。
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