北の旅打ちで想う、札幌競馬の注目度を上げたエアグルーヴの功績 (3ページ目)

  • 新山藍朗●旅人 Traveler&text by Niiyama Airo


札幌記念を制したあと、天皇賞・秋をも制覇したエアグルーヴ。photo by Kyodo News札幌記念を制したあと、天皇賞・秋をも制覇したエアグルーヴ。photo by Kyodo News
 それからは、ファインモーション、ヘヴンリーロマンス、ハープスターら名牝が勝ち馬に名を連ね、2着に敗れたものの、ブエナビスタもここをステップにして、大いに羽ばたいていった。

 今や札幌記念は、トップレベルか、あるいはこれからトップレベルにのし上がろうとする牝馬たちにとって、「ここが王道」と言っても過言ではないほどの、重要なステップレースとなったのだ。

 秋の激戦を見据えたとき、ローテーション的に楽なこと、札幌の洋芝が脚元への負担を軽くしてくれること、別定戦ゆえに極端に重い斤量を背負わなくて済むなど、根本的に肉体面のポテンシャルでは牡馬に及ばない牝馬にとって、札幌記念を使うことは、そうしたいくつかのメリットがあるらしい。

 すべては、エアグルーヴが開いた道だ。

 希望というのは道のようなもので、みんなが歩けば自然にできてくる――そんなことを言ったのは、中国の作家だったか。エアグルーヴが開いた道を、のちにブエナビスタも、ハープスターも歩いたことを思えば、まさにその言葉のとおり、牝馬たちの希望は開かれたのだと思えてくる。

 近年、ひと昔前には考えられなかったくらい、牝馬が"オトコ勝り"の活躍を見せている。大きく捉えれば、これもエアグルーヴの、1997年の札幌記念の勝利から始まったと言っても言いすぎではあるまい。

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