2016.08.05

北の旅打ちで想う、札幌競馬の
注目度を上げたエアグルーヴの功績

  • 新山藍朗●旅人 Traveler&text by Niiyama Airo

 函館の市街地を離れると、バスは夏の北海道の雰囲気がいっぱいに漂う山道を走る。その窓の外に広がる緑一色の景色に目をやりながら、つらつらとこれから行く札幌競馬のことを考えてみた。

 札幌競馬はかつて、今ほど注目度が高くはなかった。なにしろ、開催の看板レースとなっている札幌記念(芝2000m)が、当初はダートコースで行なわれていたのだ。

 おそらく注目度アップのきっかけとなったのは、それが芝コースで行なわれるようになってから。その後、GIIIだったこのレースがGIIに格上げされると、それまでは考えられなかった一流馬が出走するようになり、さらにレースの価値も、注目度も上がって、その結果、札幌競馬全体の盛り上がりにもつながった。

 もちろん、他にもいくつか理由はあるだろうが、札幌競馬が近年、「夏のローカルでは一番」と言われるほど注目を集め、競馬のレベルも高く評価されるのは、札幌記念のこの変遷と無関係ではないと思う。

 馬で言えば、エアグルーヴ。

 GIIIからGIIに格上げとなった1997年、まさにその年、この馬が札幌記念に出走した。

 そして、鮮やかに勝利を飾ると、ここをステップにしてGI天皇賞・秋(東京・芝2000m)に駒を進め、当時「牝馬には勝つのは無理」と言われたこのレースを快勝。バブルガムフェロー以下、牡馬の一線級を蹴散らして見せた。