ああ悲運のドゥラメンテ。2世に託された「凱旋門賞」制覇の夢

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by AFLO

 祖母エアグルーヴはオークスこそ勝っているが、期待された桜花賞は熱発で回避。母アドマイヤグルーヴも、桜花賞が3着、断然の1番人気に支持されたオークスでも末脚不発で7着に終わった。さらに母の妹たち、ドゥラメンテにとって叔母にあたるポルトフィーノやグルヴェイグらも、春のクラシックには縁がなかった。

 牡馬も、ドゥラメンテの叔父となるルーラーシップがダービートライアルのプリンシパルSを圧勝して注目されたが、本番のダービーでは5着に終わった。エンジンは超一流なのにシャシーが仕上がらないF1カーのように、この“超良血”一門は、3歳春の時期にはまだ、高い競走能力を支えるほどには馬体の成長が追いついていないのだ。

 しかし、この一門にとっての積年の問題も、ドゥラメンテが皐月賞とダービーを制して解消。これもまた、ドゥラメンテの隠れた功績と言える。

 それにしても、それまで際立った産駒を出せなかったアドマイヤグルーヴが、最後に送り出したのがドゥラメンテ。そして同馬が、パズルの重要な、最後のピースをはめ込むように大活躍を見せたのだから、この一門の持つ底力には感服させられる。ただただ「さすが」としか言いようがない。

 これからドゥラメンテは種牡馬として次のステージで臨むことになるが、現役時代以上にその前途は洋々だ。何より、日本屈指の超良血一門が秘める、その底知れない“力”が支えになるはずである。

 そして、父の果たせなかった凱旋門賞制覇の夢を託された産駒は、早ければ2020年、東京五輪の年にデビューすることになる。

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