ああ悲運のドゥラメンテ。2世に託された「凱旋門賞」制覇の夢 (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by AFLO

 そして、その日はきた。先日行なわれた宝塚記念のゴール直後、ドゥラメンテは「競走能力喪失」という最悪の事態を招いて、ついに現役引退を余儀なくされた。故障発症はレースが終わってからだが、レース中に脚元にかかった極度の負荷がその故障を誘発したのは確かだろう。

 2014年の秋にデビューし、9戦5勝、2着4回。昨年の春には、皐月賞と日本ダービーの二冠を制した。ダービーでは、偉大なる父キングカメハメハと希代の"英雄"ディープインパクトが持つレースレコードを更新した。見た目の印象だけでなく、記録の面でもドゥラメンテは超一流だった。

 当然、その3歳の秋には三冠の期待がかかった。しかしそれ以上に、世界最高峰の舞台である「凱旋門賞に挑戦すべし」という声のほうが大きかった。それほどの"器"だった。

 結局、ダービーのあと、放牧先で故障が判明。三冠達成も、凱旋門賞制覇も夢と消えたが、故障が癒えた今年は、凱旋門賞挑戦を最大目標としてレースを重ねてきた。今回の宝塚記念は、いわばその壮行レースとなるはずだった。そんな矢先に、アクシデントは起こってしまった。

 母アドマイヤグルーヴ、祖母エアグルーヴという、日本が誇る"超良血"を継ぐドゥラメンテ。ただ、この一門にはひとつだけ弱点があった。

 それは、3歳春のクラシックに"弱い"ということだ。

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