39年ぶりの栄冠へ。老舗牧場が宝塚記念で夢を託す、アンビシャス

  • 河合 力●文 text by Kawai Chikara
  • 村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

 新馬戦で感じた“手応え”のとおり、アンビシャスはその後、着実にキャリアを積み重ねていった。3歳時のGIII共同通信杯(2015年2月15日/東京・芝1800m)では、リアルスティール、ドゥラメンテに続く3着と、能力の高さを早々に見せつけると、同年夏のGIIIラジオNIKKEI賞(2015年7月5日/福島・芝1800m)では、後続に3馬身半差をつける圧勝劇を披露。初の重賞タイトルを手にした。

 夏を越しての3歳秋、古馬との戦いでは苦戦を強いられたが、今年に入ってからはひと皮むけて、完全に波に乗った。現在のアンビシャスの充実ぶりを見て、辻氏はこんな感想を述べる。

「4歳を迎えて成長した部分もあるかもしれませんが、それ以上に、ここに来ていろいろなものがかみ合って、本来の力を出せるようになった気がします。何にしても、デビューからケガなく、無事にこられているので、牧場としてはそれが一番うれしいです」

 アンビシャスが3着以内を外したのは、3歳時に古馬に挑んだ昨秋の2走のみ。6着に敗れたGII毎日王冠(2015年10月11日/東京・芝1800m)と、5着に終わった天皇賞・秋だけだ。

 それも、毎日王冠はスタートで大きく出遅れたことが響いたもの。天皇賞・秋にしても、道中かなり引っかかってしまい、決して実力負けではなかった。いずれも、ほんの少し歯車がかみ合わなかった。

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