2016.06.21

39年ぶりの栄冠へ。老舗牧場が宝塚記念で夢を託す、アンビシャス

  • 河合 力●文 text by Kawai Chikara
  • 村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

「アンビシャスは、馬自体の形がよかったですし、特にこちらが困るようなことはなかったですね。同じくディープインパクトを父に持つ兄インターンシップも生まれたときはいい体をしていましたし、ネオユニヴァース産駒の兄アンバサダーもすごくいい形をしていました。アンバサダーについては、『ダービーまでいけるかもしれない』と期待したほど。結局、気性が難しくて能力をフルに発揮できませんでしたが、母カーニバルソングの子たちは素質の片鱗を見せていました。そういう意味でも、アンビシャスへの期待は当初からありましたね」

 そうは言っても、「馬体がいいからといって、必ず活躍するわけではないですから(笑)」と辻氏。デビューするまでは将来の活躍についてあまり考えることはなく、アンビシャスについても、「とにかく無事に育ってほしい」ということだけを思って、丹精込めて世話をしてきたという。

 そうして、アンビシャスは順調に育ってデビュー戦を迎えた。2014年11月16日の2歳新馬(京都・芝1600m)がその舞台だった。

 レースでは、好位から抜け出して快勝。2着に2馬身半差をつける見事な競馬だった。辻氏は、アンビシャスのキャリアの中でも「特に印象深いレース」だと言う。

「馬というのは難しいもので、実際に走ってみるまでは活躍できるかどうかわかりません。ですから、アンビシャスが新馬戦を快勝したときは本当にうれしかったですね。勝った瞬間、『これはいいところまでいけるぞ!』と思いましたし、僕の中ではすごく心に残っています」