安田記念でモーリスに挑戦状! 川田将雅騎乗のサトノアラジン

  • 平出貴昭(サラブレッド血統センター)●文 text by Hiraide Takaaki photo by Nikkansports

 その後は1600~1800m戦を中心に出走。昨年からはGIIIエプソムC(東京・芝1800m)2着、GIII富士S(東京・芝1600m)2着、GIマイルチャンピオンシップ(京都・芝1600m)4着と強敵相手に善戦を続け、今年初戦のGIIIダービー卿CT3着を経て前走のGII京王杯スプリングCでようやく重賞初勝利を飾った。

 前走の内容は極めて優秀だ。勝ちタイム1分19秒6は2014年レッドスパーダの1分19秒7を0.1秒縮めるレースレコードで、コースレコードタイの好時計。4コーナー12番手から、上がり3ハロンは32秒4という素晴らしい瞬発力を披露した。

 初めての1400mでの快走から、「ベストは1400m」という印象が強いかもしれないが、GIマイルチャンピオンシップではモーリスと0.2秒差で2着馬とはクビ+ハナの僅差に入るなど、1600mは6戦して[2-2-1-1]。連対率66.7%、複勝率83.3%の高い数字を残している。距離で割り引く必要はないだろう。

 血統も素晴らしい。全姉ラキシスはGIエリザベス女王杯勝ち馬で、昨年のGII大阪杯ではキズナ(GI日本ダービー)やスピルバーグ(GI天皇賞・秋)といった牡馬の強豪を破った実力馬。母マジックストームは3歳8月に米GIIモンマスBCオークス(ダート7ハロン)を勝ち、米GIスピナウェイS(ダート7ハロン)でも3着に入った実績の持ち主だ。牝系を遡ると、ケンタッキーダービー馬で米2冠馬のシャトーゲイ、同じく米2冠馬リトルカレントなどが出た名門。代々付けられている種牡馬もストームキャット、ファピアノ、ニジンスキー、マイバブーと名種牡馬が並んでいる。姉ラキシスも4歳秋のGIエリザベス女王杯で重賞・GI初制覇を果たしているようにやや遅咲きの血統とも言えるので、この5歳春に本格化したのも頷ける。

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