蛯名正義、皐月賞馬ディーマジェスティで挑む「ダービーの勝算」 (4ページ目)

  • 新山藍朗●文・撮影 text&photo by Niiyama Airo

――フェノーメノの他にも、一昨年のイスラボニータ(2着)、2004年のハイアーゲーム(3着)と、ダービー制覇まであと一歩、という経験が何度もあります。蛯名騎手にとって、最も印象に残っているのは、どの馬で挑んだダービーですか。

「ハイアーゲームのときだね。初めて勝利を意識してダービーに乗った、という意味で忘れられない。『2着じゃあ、名前は残らない』『ダービーは勝たなきゃダメだ』という思いで、(1番人気の)キングカメハメハに真っ向勝負を挑んで、潰す気で向かっていったけど、逆にこっちがバテてしまった(笑)。でも、あのとき勝負を挑んだことで、『ダービー馬というのは、これだけ強い馬のことなんだ』というのを実感できた。あれは、(自分にとって)本当に意味のあるレースだったね」

――今年のダービーは、過去の惜しかったときと同様か、それ以上にチャンスがありそうな状況です。どんな覚悟で臨むのでしょうか。

「『勝ちたい、勝ちたい』と思えば思うほど、勝ちは逃げるものだからね。そういう気持ちを越えて、自然体で臨みたい。それと、これまでと変わらない気持ちで馬を信じて乗ること。どれだけ自分が馬を信用し切れるか、というところも、ダービーでは問われるような気がする」

――最後に、悲願のダービー制覇を果たしたら、どうなるのでしょうか。もしかして、泣いたりするのでしょうか。

「いや、泣きもしないし、何もしない。もう1回勝ちたい、そう思うだけだよ(笑)」

――ありがとうございました。ご健闘を祈っています。

蛯名正義(えびな・まさよし)

1969年3月19日生まれ。北海道出身。関東所属のトップジョッキー。5月23日現在、全国リーディング8位(34勝)。JRA通算2425勝、重賞123勝(うちGI25勝)

●競馬記事一覧>

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る