ダービー目前。蛯名騎手が語るディーマジェスティ「強さの秘密」

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • 村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

――「3強」の存在は意識していましたか。

「みんなが『あの3頭は強い』って言うし、実際にレースを見ても強いと思っていた。ただ、それまで(ディーマジェスティとは)一緒に走ったことがなかったからね。意識しなかったわけじゃないけど、その『3強』相手に自分の馬がどういう競馬をしてくれるのかっていう思いのほうが強かった。『3強』にまるで歯が立たなくて、『あぁ~、ダービー、つまんねぇな』なんてことだけにはなりたくないって、そんなことを思っていましたかね(笑)」

――どの辺りで勝利を確信しましたか。

「最後の坂を上がってくるところで、他の馬とは脚色が全然違った。それで、『あッ、これなら(前の馬を)つかまえられるわ。勝っちゃうよ、これ』って思いましたね」

――まさしく"無欲の勝利"という感じですね。

「変な色気をもって、中途半端なことをしたら、ろくな結果にはならないっていうことは、これまでの経験からよくわかっていることだからね。だから、とにかく目標はダービーだ、と。今回(皐月賞)は、ひたすらダービーを見据えたレースをする、と。そう思って乗っていたら、予想以上に前が速くなって、展開がズバッとはまった。『勝ちたい、勝ちたい』と、どれだけ思っても勝てないときは勝てないのに、そんなに(勝ちたいと)強く思っていなくても、勝てるときは勝てる。不思議だね、競馬は」

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