オークスは、ロッテンマイヤーが後方待機の有力馬にアッと言わせる (2ページ目)

 そして今年も、出走馬の中に2400mの距離を経験している馬はいません。落ち着いたペースで流れて、最後は決め手勝負になると思います。ということは、2000m戦の前走で強烈な決め手を披露したチェッキーノであれば、今回の舞台も問題視することなく、同様の力を発揮できるはずです。

 そもそもフローラSでは、東京・芝2000m戦では「大きな不利」と言われるフルゲートの大外18番枠からの発走でした。鞍上のルメール騎手がロスを最小限に抑えて騎乗していましたが、それでもコースロスはかなりあったと思います。実際には、2000mより相当長い距離を走っているでしょう。

 それでいて、チェッキーノは桁違いの末脚を見せて圧勝しました。いかにもオークス向きの、長くいい脚を持っています。シンハライトに肉薄できる存在だと思います。

キャリア3戦ながら、侮れないロッテンマイヤーキャリア3戦ながら、侮れないロッテンマイヤー もう一頭、気になる存在がいます。忘れな草賞(4月10日/阪神・芝2000m)を勝ったロッテンマイヤー(牝3歳)です。

 年明けデビューで、キャリアはまだ3戦。その分、未知な魅力があるわけですが、同馬の新馬戦からの内容には目を見張るものがあります。

 そのデビュー戦(1月10日/京都・芝1800m)、牝馬限定戦でもあり、メンバーは手薄でした。この結果自体は際立ったものではないのですが、その内容に思わず惹きつけられました。なぜなら、スタートからほぼかかりっぱなしの競馬で快勝。相手のレベルや時計からは見えない、何か秘めたるものを感じたからです。

 2戦目は、マイル戦のクイーンC(2月13日/東京・芝1600m)。距離を短くしたことで折り合いはつきましたが、何かスピードが足りない感じのレースでした。結果は3着。この時点で「距離適性は中距離かな」と思いましたね。同時に「折り合いが課題だな」とも。

 そして、3戦目が前走の忘れな草賞。2000mの距離になって、どんな競馬をするか注目していました。見た目には、確かに折り合いに苦労しているように見えましたが、自ら先手をとって1000m通過が64秒8という"超スローペース"を作り上げると、最後は上がり33秒7という速い脚を繰り出して勝利。圧巻のレースぶりでした。

 それはまさにオークスを意識した、2400m戦に向けての試走のようでした。あの競馬ができるならば、距離が延びても対応できるでしょうし、折り合い面もあまり心配しなくていいと思います。

 また一方で、33秒台の決め手を使えることは、前述の2頭にとっても脅威となるでしょう。おそらく先団、相当高い確率でハナを切ると思いますが、有力馬の仕掛けどころ次第では、アッと言わせるような結果を出してもおかしくありません。

 今回はそんな一発を期待して、ロッテンマイヤーを「ヒモ穴馬」に指名したいと思います。

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プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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