オークスは、ロッテンマイヤーが後方待機の有力馬にアッと言わせる

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 上半期のGIシリーズは早くも佳境を迎えていますね。今週は「樫の女王」、すなわち3歳牝馬のトップの座を争うオークス(5月22日/東京・芝2400m)が開催されます。

 同レースを前にして、例年話題になるのは"距離適性"です。桜花賞の1600mからオークスの2400mへ、一気に800mも距離が延びるからでしょう。今年も「あの馬の距離適性はどうなのか?」「この馬は長い距離でも大丈夫なのか」といった話があちこちで取り沙汰されています。

 また、今年は桜花賞馬のジュエラー(牝3歳)が骨折で回避。桜花賞(4月10日/阪神・芝1600m)で断然人気だったメジャーエンブレム(牝3歳)も、それこそ距離適性を考慮してか、2週前のNHKマイルC(1着。5月8日/東京・芝1600m)へと路線を変更しました。おかげで、波乱ムード漂うメンバー構成となって、レースの行方はかなり混沌としてきましたね。

 そんな中、まず注目すべきは、やはりシンハライト(牝3歳)でしょう。桜花賞でも「3強」の一角に挙げられて、僅差の2着と結果を残しました。

 勝ったジュエラーに対しては、トライアルのチューリップ賞(3月5日/阪神・芝1600m)では差し切り勝ちを収めているのですが、桜花賞では逆に差し切られてしまいました。ただこれは、マークする側と、される側との差。ちょっとしたことで、シンハライトが桜花賞馬になっていてもおかしくありませんでした。

 しかもその前走で、シンハライトは先に抜け出してソラを使っていました。まだ目いっぱいに走ってはいないのでしょう。ということは、まだまだ成長の余地を十二分に残しているということ。今回の舞台でも、さらにパフォーマンスを上げてくる可能性があります。

 管理するのは、"牝馬三冠"のジェンティルドンナを手掛けた石坂正厩舎。ここ一番の仕上げで、高いレベルでの走りを見せてくれそうです。女王の座に非常に近い存在と言えるでしょう。

 シンハライトの他、桜花賞組からは3着アットザシーサイド(牝3歳)以下、計6頭が参戦予定です。しかし正直、シンハライト以外で「勝ち馬になりそう」な馬は見当たりません。シンハライトに先着するイメージも沸かないですね。

 それならば、同じ東京コースを舞台とした前哨戦、フローラS(4月24日/東京・芝2000m)で圧倒的なパフォーマンスを披露し勝利したチェッキーノ(牝3歳)に魅力を感じます。

 オークスと同じ東京・芝2400mのダービーで9着に敗れたコディーノの全妹とあって、距離適性を疑問視する声もあるようですが、そこまで心配はいらないと思います。というのも、ダービーは底力を要求されるレースですが、オークスは前述したとおり、桜花賞から800mも距離が延びて、ほとんどの馬が初めて経験する距離。ジョッキーもその適性には疑問を持ちながら騎乗する関係で、それほどペースが上がらないからです。その結果、タフな競馬にはなりにくく、どちらかというと、決め手勝負になる傾向が強くなります。

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