人間好きでブーブー鳴くシンハライトは、オークスでこそ真価を発揮

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • 村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

 とはいえ、シンハライトにとってはオークスこそ、自らの真価を発揮する絶好の舞台。強力なライバルたちに引導を渡し、自らが"真の女王"であることを証明するつもりだった――そんな雰囲気が、関わったスタッフたちの言葉からは伝わってくる。

 デビュー前のシンハライトが身を置いて、現在はレース間の短期放牧の際に訪れるのが、ノーザンファームしがらき(滋賀県)である。当地で同馬を担当する鈴木康介氏は、オークスでこそ生きる彼女の"長所"についてこう語った。

「(コンビを組んでいる)池添謙一騎手も言っていたのですが、シンハライトはフットワークが素晴らしいんです。体の使い方がうまくてブレない。体幹が強いんですよね。そのため、パワーをきちんと前に伝えられますし、楽に前へと進めるんです。馬はどうしても斜めに走ってしまいがちなのですが、それもありません。この血統はみんなフットワークがいいのですが、シンハライトはその中でも特にいいですね」

 同馬がデビューから3連勝を飾ったとき、鈴木氏は「驚くというより、やっぱり強いな」という印象だったという。その思いの根底にあるのは、彼女の持つ一級品のフットワークだった。

 オークスは、2400m戦。3歳牝馬にとっては、どの馬にも未知の距離となる。当然ながら、これまでにないスタミナやタフさが要求される。その舞台において、ブレずに前へと進んでいける体幹の強さは、確実に武器となるだろう。

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