波乱続きのヴィクトリアマイル。今年かき乱す穴馬はシャルール (2ページ目)

 一方、前者のショウナンパンドラも、前走の大阪杯(4月3日/阪神・芝2000m)では好位を追走。これまでとは違う、積極的な競馬を披露しました。おそらくこちらも、今回に向けての試走だったのでしょう。それでいて、牡馬一線級相手に3着。上々な結果ですね。

 ただ、ミッキークイーンに比べると、マイル戦への対応など、若干課題が残っているような気がします。そのうえ、そもそもこの馬の最大目標は宝塚記念(6月26日/阪神・芝2200m)でしょう。ここは、そこへのステップと考えられます。そうなると、過大評価は禁物かもしれませんね。

 ならば、このレースにかける思いが強そうな、阪神牝馬Sの覇者スマートレイアーのほうに魅力を感じます。

 同馬は、今回で3年連続の参戦。一昨年は1番人気で8着に敗れ、昨年はさらに着順を落として10着でした。通常、ここまで崩れてしまうと、牝馬というのは立ち直るのに時間がかかるものですが、その後、見事にカムバック。年が明けてからは重賞を連勝し、ともにこれまでの走りとは一転、逃げる競馬で快勝しました。これは、この馬の新たな面を見出し、結果につなげた陣営の勝利でしょう。

 今回の鞍上は、武豊騎手。同騎手にとっては、ちょうど1年前の、このレース以来の騎乗となるので、期するところがあるのではないでしょうか。

「新星」シャルールがヴィクトリアマイルで波乱を演出する!?「新星」シャルールがヴィクトリアマイルで波乱を演出する!? 以上、3頭が"既成勢力"と言えますが、新星が現れる予感もします。そんな期待を抱かせるのは、シャルール(牝4歳)です。昇級初戦で重賞に挑戦した前走の福島牝馬S(4月23日/福島・芝1800m)では2着に敗れたものの、その走りは勝ちに等しいものだったと思うからです。

 その前走、外枠不利と言われる福島・芝1800m戦で、8枠16番と大外枠からの発走となりました。そのまま終始外目を回されて、4角でもコーナーを回りながら大外へ出しての競馬となってしまいました。非常にロスの多い競馬で、まさに枠順があだとなるような結果でした。

 鞍上を務めたのは、横山典弘騎手。僕もその乗り方、騎乗技術には一目置いている名手です。本当にうまいジョッキーだと思いますが、このレースに関しては、「福島コースに慣れていないなぁ」という騎乗ぶりでした。

 もちろん、それは仕方がないことです。中央開催を主戦場としているトップジョッキーは、福島コースで騎乗する機会は、多くて夏の1カ月くらいのものですからね。そういう意味合いもあって、勝ちに等しい競馬だったと思ったわけです。

 その福島に比べて、今回は乗り慣れているどころか、横山騎手がその巧みな技術で何頭もGI馬へと導いてきた東京・芝1600mが舞台。そのプラスアルファがあれば、シャルールが一躍ヒロインまで上り詰めてもおかしくありません。

 今回の「ヒモ穴馬」には、このシャルールを指名。その走りに注目し、一発を期待したいと思います。

大西直宏オフィシャルブログ>

プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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