皐月賞「3強」の一角崩しも、やはり福永のアドマイヤダイオウ (2ページ目)

 今回は、そこが狙い目でもあります。「大舞台での勝負強さに欠ける」とはいえ、ルメール騎手は日本で騎乗しているジョッキーの中では、ナンバー1と言えるほどの腕前。事実、何度もGIを制しています。単に、それ以上の活躍をデムーロ騎手が見せているだけだと思います。

 また、"ここ一番での勝負強さ"は、逆境にあるときこそ、より強くなるモノ。桜花賞で勝ったジュエラーは、前哨戦のチューリップ賞で負けていたことも、勝因のひとつだと思います。もしチューリップ賞での着順(1着シンハライト、2着ジュエラー)が逆だったら、桜花賞の結果も違ったものになっていたのではないでしょうか。

 ともかく、ルメール騎手にとって今回の皐月賞は、桜花賞の汚名を返上する舞台であり、1番人気サトノクラウン(6着)に騎乗した昨年の雪辱を果たす機会でもあります。しかも、サトノダイヤモンドはサトノクラウンと同じオーナーの所有馬。逆境にあるルメール騎手が、今度こそ"ここ一番での勝負強さ"を発揮してくれるのではないでしょうか。

 桜花賞に続いて、抜けた存在が3頭いる皐月賞。それぞれ、古馬になってからの活躍が今から楽しみですが、今回その「3強」に肉薄しそうな馬はいないのか。可能性を感じるのは、福永祐一騎手騎乗のアドマイヤダイオウ(牡3歳)です。先週、桜花賞の「ヒモ穴馬」として取り上げたアットザシーサイドも、福永騎手が見事3位入線へと導いてくれました。そこで再度、福永騎手の手腕に期待して、この馬を今回の「ヒモ穴馬」に取り上げたいと思います。

トライアル戦の若葉Sを3連勝で制し、皐月賞に挑むアドマイヤダイオウトライアル戦の若葉Sを3連勝で制し、皐月賞に挑むアドマイヤダイオウ アドマイヤダイオウは、デビュー戦こそリオンディーズに敗れていますが、その後は3連勝。未勝利戦(2015年12月6日/中京・芝2000m)では、先日のアザレア賞(500万条件)で2勝目を挙げた血統馬ヴァンキッシュラン(牡3歳)を子ども扱い。続く500万条件の梅花賞(1月30日/京都・芝2400m)でも、早め先頭からの横綱競馬で完勝しました。

 3連勝を飾った前走のトライアル戦、若葉S(3月19日/阪神・芝2000m)も強かったです。直線に入って、外から伸びてきたナムラシングン(牡3歳)に一度はかわされたものの、内から差し返すという勝負根性を見せました。辛勝ながら、3着以下には8馬身差をつけていますから、実力の高さに疑いようがありません。

 新馬戦で敗れてしまったことで"裏街道"を歩んできましたが、上位を脅かす素質は秘めています。福永騎手は初騎乗となりますが、同じ友道康夫厩舎の所属馬で、先の阪神大賞典を勝ったシュヴァルグランの主戦を務めています。負傷さえしていなければ、アドマイヤダイオウにもデビュー戦から乗っていたと思います。

 大舞台で巡ってきた、底力のある伏兵馬の手綱。これも、重賞で結果を出し続けている福永騎手の、今のいい流れを象徴しているようですね。強豪相手にどんなレースを見せてくれるのか、楽しみです。

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プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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