注目の桜花賞。「3強」を崩せるのは、福永のアットザシーサイド (2ページ目)

 ライバルとなるのは、やはり前哨戦のチューリップ賞(3月5日/阪神・芝1600m)で最後まで激しく競り合った上位2頭、1着シンハライト(牝3歳)と2着ジュエラー(牝3歳)でしょうか。同レースでは本番さながらのデッドヒートを繰り広げて、スタートからゴールまでほぼ2頭の併せ馬のように見えました。珍しい決着でしたね。

 勝ったシンハライトは、これで3戦3勝。まだ底を見せていませんし、大仕事をやってのける可能性は十分にあります。

 2着に敗れたジュエラーも、まだシンハライトとの勝負づけは済んでいないと思います。というのも、スタートからゴールまでほぼ併せ馬になって、内で苦しい競馬を強いられたのはジュエラーのほうでしたから。シンハライト騎乗の池添謙一騎手に、うまく封じ込まれてしまった感じでした。

 馬込みに入ると、やはりプレッシャーがきつくなり、体力をロスすることが多々あります。特にジュエラーのように気性が幼そうな馬は、余計にそうした影響を受けると思います。

 この馬の場合は、大外に出してのびのび走らせたほうがいいでしょう。そのほうが能力を存分に発揮できると思います。おそらく鞍上を務めるミルコ・デムーロ騎手もそう思っているのではないでしょうか。本番となる今回は、そうした競馬に徹すると思いますよ。

 この上位3頭は、この世代では抜けた存在。古馬になってからの活躍が今から楽しみです。

好調・福永騎手が騎乗するアットザシーサイド好調・福永騎手が騎乗するアットザシーサイド さて、これら「3強」に肉薄するような馬はいるのか。少なからず可能性を感じるのは、福永祐一騎手が手綱を取るアットザシーサイド(牝3歳)です。この馬を、今回の桜花賞の「ヒモ穴馬」に取り上げたいと思います。

 アットザシーサイドは、昨年末の阪神JFでも5着と健闘していますが、10月25日のデビュー戦を飾って、2勝目をあげたのが11月23日。そこから中2週でのGI挑戦は、さすがに華奢な2歳牝馬にとっては少し過酷なローテーションだったと思います。しかしながら、直線でグイグイと伸びてきた同馬。そのとき、「ちょっとしたことで上位に食い込んでこられる馬だろうな」と思いました。

 ゆえに、復帰戦となった前走のフィリーズレビュー(3月13日/阪神・芝1400m)も注目して見ていました。2着に敗れはしたものの、期待どおりの内容で、桜花賞の出走権を見事に獲得してくれました。

 馬込みで我慢して、直線では馬群の間を抜けてくるというレースぶりで、混戦になっても頼ることができる気性であることを再確認。加えて、またも坂を上がってからグイグイと伸びてきて、その姿には好感が持てました。この「伸びてくるのが少し遅い」くらいのほうが、ペースが速くなる桜花賞ではかえっていいと思っています。

 鞍上の福永騎手は、先日のGI高松宮記念でも好騎乗でビッグアーサーを勝利に導きました。いい波に乗っている雰囲気があって、GI連勝を飾っても不思議ではありません。楽しみですね。

大西直宏オフィシャルブログ>

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プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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