注目の桜花賞。「3強」を崩せるのは、福永のアットザシーサイド

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 いよいよクラシックが開幕。4月10日に桜花賞(阪神・芝1600m)が開催されます。

 昨年のクラシックを賑わせた牡馬勢は、ドゥラメンテやリアルスティール、キタサンブラックなど、その後も大いに活躍しています。一方、牝馬勢はクイーンズリングやルージュバックらが奮闘しているものの、一昨年のハープスターやヌーヴォレコルト、それ以前のジェンティルドンナやヴィルシーナらの世代に比べると、古馬になって牡馬一線級相手でも好勝負できるような馬がまだ出てきていません。その辺は、昨年のオークス馬ミッキークイーンや、前述のルージュバックが、これからどれだけ成長するかがカギになるでしょうね。

 そんな昨年に比べて、今年の牝馬は非常にレベルが高いと思います。それらが激突する桜花賞は、本当に見応えのあるレースになりそうです。

 まずは何と言っても、メジャーエンブレム(牝3歳)。昨年の阪神ジュベナイルフィリーズ(2015年12月13日/阪神・芝1600m)を制して最優秀2歳牝馬に輝いた同馬は、デビュー戦から桁違いのレースを見せてきました。そして、今年初戦となった前走クイーンC(2月13日/東京・芝1600m)では、さらにインパクトのある勝ち方を披露。その強さを存分に見せつけました。

 相手はほとんどが1勝馬。メンバーのレベルは高くありませんでしたが、この馬自身の走りは破格でした。第一に、勝ち時計が1分32秒5。前年に記録されたレースレコードを1秒5も上回る快時計をマークしたのです。3歳馬になったばかりの2月、しかも牝馬では普通はあり得ないことです。

 また、好時計が出る場合は、おおよそレースを引っ張ってくれる速い逃げ馬がいて、その展開を利して最後に強烈な末脚を炸裂させた馬が記録することが多いものです。しかし、メジャーエンブレムは自ら作ったペースでその時計を叩き出したのです。

 スタートからほぼ馬任せでハイラップを刻んで、上がり3ハロンが34秒7。道中のラップも、最初の1ハロンを除いて一度も12秒台に落ちていないという驚異的なものでした。それだけメジャーエンブレムのスピード能力と心肺能力が高い、という証拠でしょう。

 結果的に逃げてはいますが、他の馬とはスピードの絶対値が違い過ぎて先頭に立ってしまうだけ。本来逃げなくても、勝ち負けの競馬ができると思います。跨っている騎手も安心して乗れるタイプの馬で、馬券を買う側にとっても心配なく見られる優等生と言えますね。

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