蛯名騎手が早々にクラシックの相棒に指名したディーマジェスティ (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • 村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

 そこから立て直して挑んだのが、共同通信杯(2月14日)。同レースには、ハートレー(牡3歳)やスマートオーディン(牡3歳)など、すでに重賞を勝っている実力馬が出走し、それら実績のある面々が人気を集めた。しかしレースでは、最後の直線を迎えると有力各馬がことごとく失速。ディーマジェスティがその間隙を突いて、中団待機から力強く伸びて快勝した。その脚色は最後まで衰えることなく、息の長い末脚を見せつけての見事な勝利だった。

 このまま皐月賞に直行する予定のディーマジェスティ。共同通信杯では6番人気という"低評価"だったが、もともと同馬に関わる人たちの評判はかなり高かったという。関東競馬専門誌のトラックマンがその仔細を伝える。

「初勝利まで3戦を要しましたが、最初の2戦は小回りコースで、逃げ馬にうまく運ばれた形。厩舎スタッフの間では『あくまでも展開のアヤ』という判断で、その結果に悲観することはなく、ディーマジェスティに対する評価も下がることはなかったようです。

 また、ディーマジェスティをとりわけ評価しているのが、2戦目からコンビを組んでいる蛯名正義騎手。この馬の乗り味と素質に相当惚れ込んでいて、『2016年のクラシックはこの馬でいきたい』と早くから考えていたそうです。そのため、他の3歳牡馬の騎乗依頼はあまり受けなかったみたいですね。ディーマジェスティへの期待はそれほど大きく、蛯名騎手自身、『クラシックでも十分に勝ち負けできる』という手応えを得ているようですよ」

 初勝利のあと、強豪が集う重賞レースにすかさず向かったのも、騎手や厩舎の"自信の裏返し"だったのだろう。

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