【スプリングS】この相手ならマウントロブソンに妙味あり (2ページ目)

 小柄な馬体、圧倒的なパフォーマンスによる勝利という点において、ひょっとすると「早熟かもしれない」と思いましたが、その後、年末のホールプルS(2015年12月27日/中山・芝2000m)で、骨のあるメンバー相手に2着と好走。その結果を見る限り、その心配は杞憂に終わりそうです。しかしながら、結果として負けたことは事実。それからおよそ3カ月経って、今回どれだけ成長しているかが、同馬に対する本当の意味での評価の分かれ目となります。

 もし成長がなければ、前述した有力4頭には及ばないでしょうし、「早熟」といった評価で終わってしまうかもしれません。ここは、負けられないでしょうね。

 ところで、スプリングSの前日には、関西でも皐月賞トライアルの若葉S(3月19日/阪神・芝2000m)が行なわれます。実は、ここに出走するアドマイヤダイオウ(牡3歳)という馬に注目しています。

 同馬は、デビュー戦でリオンディーズの3着でした。そしてその際、リオンディーズに次ぐ上がりタイムをマーク。当時から、相当な脚力を見せていました。順当に勝ち上がった2戦目でも、ヴァンキッシュランといった力のある馬を完封。もしこのまま若葉Sもあっさり勝ち切るようであれば、相当な実力馬と言えます。

 その場合、同馬が勝った500万条件・梅花賞(1月30日/京都・芝2400m)の2着馬で、このスプリングSに出走するミッキーロケット(牡3歳)が侮れない存在となるかもしれません。この馬もまだまだ奥がありそうで、先々が楽しみなタイプと見ています。

スプリングSで皐月賞への出走権獲得を狙うマウントロブソンスプリングSで皐月賞への出走権獲得を狙うマウントロブソン さて、このレースの「ヒモ穴馬」には、意外と人気の盲点になりそうな、マウントロブソン(牡3歳)を指名したいと思います。

 マウントロブソンは、昨年の二冠馬ドゥラメンテを管理する堀宣行厩舎の所属馬で、生産もドゥラメンテと同じノーザンファーム。それだけに、デビュー前から注目していましたが、デビューした当初は何か物足りない競馬が続いていました。今思うと、まだ精神的にも、肉体的にも、成長途上だったんでしょうね。

 それが、3戦目の未勝利戦(2015年12月19日/中山・芝2000m)で変わり身を見せました。まだ反応の悪さなど、目につく点はありましたが、終(しま)いまでしっかり伸びて快勝。相手に恵まれたとはいえ、「これで、自信がつくかな」と思いましたね。

 そして、楽しみにしていた年明けの復帰戦。前走のあすなろ賞(2月13日/小倉・芝2000m)は、想像以上のレースぶりで完勝してくれました。スタートしてからのややもっさりした感じは残っていたものの、道中の手応えは今までで一番よかったのではないでしょうか。まくり気味の仕掛けにもしっかり反応して、早め先頭から見事に押し切りました。

"裏開催"のメンバーでしたが、そのレベルは決して低くなかったと思います。この勝利で「トライアル戦でも、面白い存在になる」と確信しました。弥生賞のような豪華メンバーには太刀打ちできなかったでしょうが、今回のスプリングSのメンバーなら、馬券対象圏内に飛び込んでくる可能性は十分にあると思います。楽しみな一頭です。

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プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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