藤田菜七子騎手へ。「馬一頭一頭の個性や感情に触れる気持ちを大切に」 (3ページ目)

  • スポルティーバ編集部●構成 text by Sportiva  photo by Kyodo news

――騎手において、男女差はハンデになりますか。

「筋力で男性に及ばない部分はあるでしょうが、そもそもいくら筋力があろうと、馬の1馬力には敵わないわけですから。男性でも筋力が弱い人はいるし、"こぶしの柔らかい"人もいる。私は一概に性差があるとは言えないと思います」

――"こぶしの柔らかさ""当たりの柔らかさ"とよく言われますが、馬に乗ったことのない人にはどう説明すればいいでしょうか。

「たとえば、泣いている赤ちゃんがいます。頭ごなしに怒ったり、抱っこ紐でしばってしまうのではなく、アンパンマングッズなど好きなものを見せたりして、赤ちゃんの気持ちをふっと逸(そ)らせる、いい意味でごまかすことができるということでしょうか。これは(同じ女性の競技者もいる)競輪、ボートレースとは違うところで、乗るのは馬という気持ちを持った生き物ですから、ふっと気持ちをラクにしてあげたり、うまく誘導したり、なだめたりすることで、パフォーマンスを上げることができるんです」

――先輩として、藤田菜七子ジョッキーへアドバイスはありますか。

「センスの良し悪し、技術の得手不得手は多少あると思いますが、競馬学校では同じことを習っているので、スタートラインの時点で大差はないと思うんですよ。大事なのは経験をたくさん積むこと、馬一頭一頭に個性があって、いろいろな感情を持っていることを知ることだと思うんです。

 彼女はいい意味でも悪い意味でも注目度が高い。失敗してしまえば、悪目立ちしてしまうけれども、(所属先の)根本(康広)調教師もバックアップすると言っていますし、かわいらしいルックスもあって、たくさんのメディアの方もついている。レースでの乗り数だけでなく、日々の調教で跨る馬でいろいろな背中や個性を知って、さまざまな経験を積んでいくことだと思います。(経験が大事であることは)騎手に限らず、どんな職業でもいえることですが」

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