話題の藤田菜七子ら、JRA新人ジョッキーたちの熱い胸のうち (2ページ目)

  • 土屋真光●文・写真 text & photo by Tsuchiya Masamitsu

 新人となった6人のうち、半数の3人が父に騎手(引退を含む)を持つ"サラブレッド"だ。菊澤一樹は父が元JRA騎手で、現在は調教師となった菊澤隆徳。その父の厩舎所属で、父子の関係から師弟の関係となった。

「(2年生の)研修の頃から父とは呼ばず、『先生』と呼んでいます。そちらのほうがやりやすいですね」
 
 目標とする騎手は、そんな父ではなく、叔父にあたる横山典弘(菊澤一樹の母は横山の妹)の名前を挙げた。「父は通過点です(笑)」というコメントに、負けん気の強さを垣間見せる。
 
 坂井瑠星(りゅうせい)は大井競馬のトップジョッキー坂井英光を父に持つ。父からは「上を目指すなら中央競馬」と背中を押された。167.5cmとジョッキーとしては長身で、ともすれば体重面がハンデともなりそうだが、「今、44.5kgで減量の心配はありません。むしろ、恵まれた体格を活かしたい」と前向きにとらえる。昨夏には目標とする福永祐一のバレットもつとめ、間近でその技術を目にしてきた。

 木幡巧也は父が木幡初広、兄は木幡初也で、父子3人が同時に現役となる。競馬学校の同期でもっとも優秀な生徒に贈られるアイルランド大使特別賞を兄同様に手にした。賞イコール現役生活での成功が約束されたわけではないが、昨年この表彰を受けた鮫島克駿(かつま)はデビュー年に39勝を挙げて、JRA賞最多勝利新人騎手を受賞している。

 実は一度、留年しており、競馬学校での生活を4年送った。「留年してしまったのは悔しくて情けなかったけれども、その1年で得たものも多かった」(木幡)

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る