牝馬クラシック大本命、メジャーエンブレムが積んだ「我慢練習」 (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • 村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

 田村厩舎にはメジャーエンブレムの兄たちもいるのですが、彼らは気性が荒く、調教・管理するにも結構手を焼いているそうです。それに比べてメジャーエンブレムは、『おとなしくて扱いやすい』とのこと。こうした精神面も、強さに通じているのでしょう」

 彼女の従順さを示したのが、まさしく阪神JFで見せた折り合い面の成長だ。アルテミスSで初の敗戦を喫したあと、他馬の後ろで我慢させる練習を取り入れたという。その結果、大一番となる阪神JFでは道中かかることなく、スムーズな抜け出しから後続を難なく振り切った。

 厩舎スタッフにとっても、精神的な成長を見せたこの阪神JFのレースぶりが、今後に向けてさらに大きな自信となったようだ。先述のトラックマンが続ける。

「陣営としても、3戦目までは"力まかせ"のレースという印象が強かったようですが、阪神JFでは『気性とパワーがかみ合った、言うことのないレースだった』と、厩舎スタッフらも自画自賛。同じ舞台で行なわれる桜花賞はもちろん、距離が延びるオークスについても、かなりの手応えを得た様子でした。現状では、これといった不安がまったく見当たりませんね」

 今後は、GIIIクイーンC(2月13日/東京・芝1600m)で復帰し、そこをステップにして桜花賞へと向かう。これから、他馬のマークは一層厳しくなるだろうが、それでも彼女が不動の最有力候補であることは間違いない。

 スタッフからの厚い信頼を寄せられているメジャーエンブレム。春のクラシックでも、磐石のレースぶりでタイトルを重ねていくのか、決戦の日が待ち遠しい。

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