小牧場生まれのキタサンブラック、有馬記念も『まつり』熱唱か (5ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • 村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

「北島さんは、これまでにも何頭かうちの馬を買ってくださっていて、常々『またヤナガワさんから(馬を)買いたい』と言っていただいていました。それで、『今度は走る馬が欲しいなぁ』とおっしゃって(笑)、牧場に来られたときに、キタサンブラックをご覧になったんです。そこですぐ、『いいねぇ』と。かなりほめていただいて、購入してくださいました。

 北島さんは、長い間ずっと、日高地方の馬を買ってきてくれた方で、とても馬を大切にしてくださるオーナー。その方が、GIを勝てて本当によかったですし、それがうちの生産馬ですからね、心底うれしかったです」

 キタサンブラックがつなぐ人の縁。それもまた、この馬の強さの源になっているかもしれない。

 ともあれ、GI制覇の喜びも束の間、次は有馬記念で古馬に挑む。相手はさらに強化されるが、今の勢いがあれば、チャンスは十分にあるだろう。

 当日は、梁川氏も再び現地に観戦に行くという。「まずは無事に走ってほしい」と願ったうえで、キタサンブラックにこうエールを送った。

「キタサンブラックには、レースをするたびに『こんなに強い馬なんだ』と驚かされてきました。『今回は相手が強いかな』と思っても、また勝ってきてくれたんですよね。今回も強い馬ばかりですが、なんとかがんばってもらえれば。有馬記念に出られるというのは、本当に名誉なことですから」

 偉大なる小牧場から生まれた不屈の“駿馬”キタサンブラック。演歌歌手の大物がひと目惚れした「器」は、これまでも前評判をことごとく覆(くつがえ)してきた。ならば、年末の中山競馬場で、再び奇跡を起こしてもおかしくない。第一、年忘れに『まつり』の熱唱は欠かせない。

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