小牧場生まれのキタサンブラック、有馬記念も『まつり』熱唱か

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • 村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

 親子3代で営んできたヤナガワ牧場は、スタッフが約10名、毎年30頭ほどの競走馬を生産する小さな牧場だ。それでいて、ここ数年はGI馬を相次いで輩出している。

 2007年のGIフェブラリーS(東京・ダート1600m)を勝ったサンライズバッカスや、2014年のGI高松宮記念(中京・芝1200m)を制したコパノリチャード、さらに2014年、2015年とGIフェブラリーS連覇を果たし、ダートGI5勝(地方交流GIを含む)を挙げているコパノリッキー(牡5歳)などがそうだ。

 生産牧場のランキングを見ても、2013年の14位から、2014年は11位、2015年(12月21日現在)は10位と、着実にランクアップ。牧場の規模を考えれば、異例の躍進と言えるだろう。

 そこで、同牧場の代表である梁川正普(やながわ・まさひろ)氏に、生産馬の活躍、牧場が好調な理由を聞いてみると、こんな答えが返ってきた。

「(牧場で)特別に何かをやって、それがうまくいったわけではないんです。僕らだけでなく、厩舎やジョッキー、育成牧場の方などが、生産馬に一生懸命関わってくれて、そういうものがうまく噛み合った結果だと思います」

 そうは言っても、GI馬が出るだけの環境であることは間違いない。キタサンブラックが誕生したことも、決して偶然ではなく、それだけ結果を出している牧場だったからに他ならない。つまり、キタサンブラックの強さを語るうえでは、同牧場の出身であるということが、何より欠かせない要因となる。

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