【競馬】マイルCSの「大穴」は、桜花賞馬レッツゴードンキ (2ページ目)

 ライバルとなるのは、外国人騎手が手綱をとる2頭。ルメール騎手が鞍上を務めるサトノアラジン(牡4歳)と、ミルコ・デムーロ騎手が騎乗するフィエロ(牡6歳)です。

 サトノアラジンは、マイル路線を主戦場とするようになってから、その能力が開花。素質馬がいよいよベールを脱いだ雰囲気にあります。

 前走の富士S(10月24日/東京・芝1600m)では、クビ差2着に敗れてしまいましたが、それは勝ち馬に目標にされた分の差。まして、休み明けの結果です。1回使った今回は、当然上積みが考えられます。悲願のGI制覇を遂げる可能性は十分にあります。

 一方のフィエロは、昨年の2着馬。GIをいつ勝ってもおかしくない存在です。

 昨年は、春の安田記念(8着。2014年6月8日)のあと休養し、復帰戦のスワンS(3着。2014年11月1日/京都・芝1400m)を叩いて、マイルCSに臨んできました。そして、今年もまったく同じローテーションですが、安田記念4着、スワンS(10月31日)2着と、昨年よりも好成績を残してきました。もちろん着順だけで判断できるわけではありませんが、少なくとも年齢的な衰えなどは見られず、本番でも昨年以上のパフォーマンスが期待できそうです。

人気急落のGI馬レッツゴードンキ。一発あってもおかしくない人気急落のGI馬レッツゴードンキ。一発あってもおかしくない さて、このレースの「ヒモ穴馬」ですが、桜花賞馬のレッツゴードンキ(牝3歳)を取り上げたいと思います。

 3歳牝馬三冠最後の秋華賞(10月18日/京都・芝2000m)では、3番人気に推されながら17着と大敗を喫しました。同レースでは、スタートしてから最後の4コーナーを迎えるまで、ずっと力んで走っていました。鞍上の岩田康誠騎手が必死に抑えようとしていましたが、失速するまで引っかかりっぱなしでしたね。

 レッツゴードンキはその前のローズS(9月20日/阪神・芝1800m)でも、我慢できずにハナを切ってしまいました。ただ、そのレースではまだ折り合っている感がありました。結局、1000m通過が58秒4というハイペースながら4着に粘れたのは、多少でも折り合って、最後の脚を残せたおかげだと思います。おそらくレッツゴードンキは、ハナを切ったほうが折り合いも少しはマシになるのでしょうね。

 しかし、ローズSでも結果4着だったように、それだけでは"勝ち負け"の争いに加わっていくには厳しい状況です。何かしらのプラスアルファーが求められます。

 そういう意味では今回、鞍上がスイッチします。それが、好走への起爆剤となるかもしれません。

 今年に入ってから、レッツゴードンキの手綱は岩田騎手がずっととってきましたが、競走馬も生き物で、慣れてしまうと気難しいところを出す場合があります。逆に言えば、騎手の乗り替わりによって、フレッシュな気持ちとなって、操作性が上がる可能性があるのです。

 今回鞍上を務めるのは、新馬戦以来の騎乗となる戸崎圭太騎手。初騎乗ではありませんが、このスイッチがレッツゴードンキに刺激を与え、再び高いパフォーマンスを発揮しても不思議ではありません。前走の大敗によって、人気は一気に下がりそうです。一発狙うなら、面白い存在だと思います。

プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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