【競馬】あえて天皇賞・秋を選んだサトノクラウンに勝機あり (2ページ目)

 ゴール前追い込んで2着に入ったディサイファ(牡6歳)も、本番ではさらによくなってきそうです。

 実はこの馬、デビューした3歳のときからずっと注目して見ています。とにかく、素質は相当なものがありましたが、長い間幼さが抜けないレースを繰り返してきました。それが、6歳を迎えた今年の春あたりから、緩さが抜けて、気性の成長もうかがえて、ひと皮むけたレースをするようになりました。

 札幌記念(8月23日/札幌・芝2000m)では、今までは考えられないような積極的な競馬で押し切り勝ち。素質馬がいよいよ本格化した印象です。前走の毎日王冠も敗れはしましたが、収穫は存分にありました。有力馬の一頭だと思います。

 もうひとつの前哨戦、京都大賞典を勝ったラブリーデイ(牡5歳)もまた、今年に入って本格化した感があります。初のGI勝利を飾った宝塚記念(6月28日/阪神・芝2200m)は、恵まれたところがあったと思ったのですが、前走の走りを見る限り、そうではなかったようです。あの勝ちっぷりには、正直驚きました。

 斤量58kgを背負って、しかも2400mのレースで、上がり3ハロン32秒3というタイムを記録。その末脚は驚異的です。東京の馬場も合いそうですし、この馬もまた、大いにチャンスがある一頭ですね。

3歳の実力馬サトノクラウンの一発があってもおかしくない。3歳の実力馬サトノクラウンの一発があってもおかしくない。 このように激戦の天皇賞・秋ですが、例年に比べると、全体のレベルは少し落ちるかもしれません。昨年のこの時期は、冒頭で触れたジェンティルドンナなど、GIを複数回勝っている超一線級の馬たちが存在しました。しかし、それらの多くが引退した今年は、GIを2回以上勝っている馬がいません。

 そういう状況を考えると、3歳馬でも十分勝負になるのではないか、と見ています。そこで注目したいのは、サトノクラウン(牡3歳)です。この馬を今回の「ヒモ穴馬」に指名したいと思います。

 本来3歳馬ならば、それも春のクラシックで好走していた馬であれば、牡馬クラシック最終戦となる菊花賞(10月25日/京都・芝3000m)に向かうはずです。しかし同馬は、あえて天皇賞・秋を選択しました。菊花賞出走を選ばなかったのは、距離適性うんぬん以前に、東京・芝2000mという舞台が魅力だったこと、そして何より、今年のメンバーであれば「チャンスがある」と踏んだからではないでしょうか。

 鞍上は、この馬のことをよく知るルメール騎手。うまくエスコートされて、古馬勢を一蹴してもおかしくありません。

プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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