【競馬】天皇賞・秋、合言葉は「第2のジャスタウェイを探せ!」 (2ページ目)
その年の天皇賞・秋は、実に今年と状況が似ていた。レースのカギを握ると言われていたのは、エイシンヒカリと同じ逃げ馬のトウケイヘイロー。しかも、武豊騎手騎乗で3連勝を飾ってのGI挑戦と、臨戦過程もほぼ同じだった。そしてトウケイヘイローは、レースでも果敢な逃げを打った。
すると、同馬をきっちりマークする馬がいた。好スタートからややかかり気味にいって、トウケイヘイローの直後につけたジェンティルドンナである。ジェンティルドンナの場合、引っかかったことで図らずも「徹底マーク」する形になったわけだが、前年に牝馬三冠(桜花賞、オークス、秋華賞)を達成し、ジャパンカップ(東京・芝2400m)まで制した同馬は、1番人気に支持された断然の中心馬だった。今年で言えば、まさしくラブリーデイのような存在である。
はたして、トウケイヘイロー、ジェンティルドンナという人気馬2頭が先手を取ったレースは、他馬の先行意識も煽(あお)って、前半1000mが58秒4という速いペースを生み出した。さらにそのまま後半も、密集する先行馬群が早仕掛けに逸(はや)る"前がかり"の展開となっていったのである。
その結果、先行馬には苦しい直線となった。逃げたトウケイヘイローは、早々に失速して10着。ジェンティルドンナも2着を死守するのが精一杯だった。息つく暇のない、早め、早めの"消耗戦"が、前行く馬たちの余力を奪ったのだ。
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