【競馬】超良血タッチングスピーチ。秋華賞で開かれる名牝への扉 (3ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Nikkan sports

 おかげで、世間の評価は急落したが、前出の専門紙トラックマンは、「(敗れた前哨戦は)それぞれ、明確な敗因があった」と語る。

「(惨敗した)ふたつのレースとも、この馬が力を発揮できる状況ではありませんでした。苦手の道悪の競馬を強いられたり、レース前に発熱して、それが尾を引いたりしていた。決して、タッチングスピーチの能力が足りなかったわけではありません」

 そして、その見解の正しさは、4カ月ほどの休養を経てからの復帰戦で証明された。8月の札幌競馬場。500万条件(芝2000m)のレースで、タッチングスピーチは古馬相手に快勝。最後方から鮮やかな差し切り勝ちを収めた。

 特筆すべきは、34秒2という同レースでマークした上がりタイムだ。再び専門紙トラックマンが解説する。

「洋芝の札幌で、さらに外を回って、あの上がりタイムを記録して勝てる馬はそうはいません。34秒2という時計は、新潟競馬場であれば、32秒台に匹敵するものです。あのレースを見て、タッチングスピーチの能力は相当高いな、と改めて思いましたね」

 休養を経て、ガラリと一変というか、ようやく持てる力を発揮できるようになったと見るべきだろう。その意味では、ローズSの快勝も「想定内」だったと見ることができる。タッチングスピーチは、それぐらいの“器”である。

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