【競馬】良血開花なるか。ローズSはトーセンビクトリーに注目せよ

 一方、ミッキークイーンは、デビューから3戦目のクイーンC(2着。2月14日/東京・芝1600m)までも、十分な強さを見せていましたが、4戦目の忘れな草賞(4月12日/阪神・芝2000m)、そしてオークス(5月24日/東京・芝2400m)と成長を見せ、一層高いパフォーマンスを発揮。ひと皮も、ふた皮もむけた内容で勝利を飾りました。

 特にオークスでは、それまで世代ナンバー1と言われたルージュバックを差し切り勝ち。マークしていたほう(ミッキークイーン)と、マークされたほう(ルージュバック)の差はあるにしても、世代トップにふさわしい鮮やかな走りでした。夏を越して、さらなる成長を見せてくれるのか、レースが楽しみです。

 ルージュバックに代わって、"関東馬代表"として期待されるのは、3戦3勝のディープジュエリー(牝3歳)です。決め手のあるディープ産駒で、今回の舞台設定も申し分ありません。非常に魅力的な素材で、そのレースぶりによっては、本番でも楽しみな存在になりそうです。

良血トーセンビクトリー。ローズSでその真価を発揮できるか。良血トーセンビクトリー。ローズSでその真価を発揮できるか。 さて、このローズSの「ヒモ穴馬」ですが、トーセンビクトリー(牝3歳)を取り上げたいと思います。夏の間に、古馬相手の、しかも牡馬混合の500万条件(7月11日/中京・芝2000m)、1000万条件(8月23日/小倉・芝1800m)を連勝。いよいよ良血開花の兆しがあります。

 父キングカメハメハ、母トゥザヴィクトリーという、言わずと知れた良血のトーセンビクトリー。早いうちから完成度の高かった全兄トゥザワールド(牡4歳/2014年の皐月賞2着、有馬記念2着)と違って、ここに来て軌道に乗りつつあります。馬格もよくて、今後が本当に楽しみな一頭です。

 1000万条件を勝っているため、ここを使って、無理に優先出走権(3着以内)をとらなくても、おそらく秋華賞には出走できると思います。ただ、同馬は春からコンスタントに使われてきています。そのため、ここで変に緩めることなく、いい出来をキープしたまま本番に向かいたいのではないでしょうか。陣営としては、そんな青写真を描いているのだと思います。

 前走の1000万条件は、とにかく圧巻でした。2着に退けたキリシマホーマ(牡4歳)は、このクラスを一度勝っている馬。他の上位入線馬も、クラス実績のある非常にレベルの高いメンバー構成でした。そうした面々を相手に、トーセンビクトリーは好位から抜け出してあっさり快勝。その豪快な勝ちっぷりには、本当に驚かされました。

 今回は重賞とはいえ、同世代の牝馬限定戦。レースレベルで言えば、前走のほうが高かったとも言えるでしょう。まさに先々が楽しみな、トーセンビクトリーの一発に期待が膨らみます。

トーセンビクトリーの他にもいるぞ!
レッツゴードンキ、ミッキークイーンを撃破するローズSの超穴馬を今すぐ教えます!!

プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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