【競馬】本命不在の3歳牡馬。今秋注目は「春に泣いた」実力馬 (2ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • 村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

秋競馬での飛躍が期待されるサトノクラウン。秋競馬での飛躍が期待されるサトノクラウン。 これで、完全に脇役に追いやられてしまったサトノクラウンだが、"主役"ドゥラメンテがダービー後に骨折が判明。今秋の、3歳牡馬の有力候補として再び脚光を浴び始めている。

 順調に夏を乗り越えたサトノクラウン。その動向が注目されていたが、どうやら陣営は、3歳クラシック最後の一冠・菊花賞を目指すのではなく、古馬と激突する中距離路線を選択し、天皇賞・秋(11月1日/東京・芝2000m)を最大目標とするようだ。

 その点について、血統評論家の栗山求氏は「悪くない」という。また、持ち込み馬(海外で受胎した繁殖牝馬を日本に輸入して生まれた馬)のサトノクラウンは、父マルジュ、母の父がロッシーニと、日本にはあまり馴染みのない欧州血統。欧州血統と言えば、重厚な印象があって、軽い馬場の日本ではマイナスイメージが強いが、栗山氏は「サトノクラウンの血統は、むしろ好印象」と語る。

「サトノクラウンの全姉・ライトニングパールは、チェヴァリーパークS(イギリスGI・芝6ハロン)を勝ったスプリンター。2000m路線に矛先を向けたのは、正解でしょう。また、サドラーズウェルズとデインヒルといった典型的な欧州の血を含んだ馬は、確かに日本で苦労する傾向がありますが、サトノクラウンはこの両血脈を持っていません。母(ジョコンダII)はミスタープロスペクターの3×4、サーアイヴァーの4×4など、素軽いクロス(の血)を含んでいて、日本向きの適性があります」

 始動の予定は、10月11日に行なわれる毎日王冠(東京・芝1800m)。古馬の一線級がそろうレースで、同馬にとっては、今後を占う試金石の一戦となる。もともとサトノクラウンは、陣営がドゥラメンテと同等の評価をしていた期待馬。ここを足がかりにして、世代を超えた頂点を狙う。

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