【競馬】日本競馬界の「異端児」パカパカファームの未来 (4ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • 写真提供●パカパカファーム

 事務所のデッキからは、広く牧場が見渡せ、遠くには月の明かりに輝く太平洋が望める。その美しい景観の中、あれやこれやと考えを巡らせることが、スウィーニィ氏の“お気に入り”のようだ。例えば、牧場の今後については、こんなことを想像するという。

「社台グループがサラブレッドの“大型デパート”だとしたら、パカパカファームは“セレクトショップ”を目指したいんです。小さいけれど、いいモノがそろっている牧場。血統などを見て子馬を買うのと同じように、『パカパカの馬だから買う』というブランドを築きたいですね。それだけ、手をかけているという自負がありますし、これからも子馬の管理や飼育に関しては、決して妥協はしません」

 インパクトのある牧場名にしたい――その思いからつけた「パカパカファーム」というネーミング。このユニークな牧場名は今、確実に“ブランド”として定着しつつある。が、スウィーニィ氏が見据えるゴールは、まだはるか先。だからこそ、彼はこれからも試行錯誤を繰り返していく。

 余談だが、スウィーニィ氏が事務所のデッキにいる時間は、パカパカファームの子馬たちを鍛えることにもつながっているという。無邪気な笑顔を見せながら、スウィーニィ氏がその理由を教えてくれた。

「昨年からサックスの演奏にはまっていて、夜にデッキでサックスを吹くのが日課。でも、なぜか牧場の馬たちは、私のサックスを聞くと逃げていくんです。ただ、そうやって逃げているうちに、子馬たちの脚力は鍛えられているはず。ですから、これからデビューする馬たちは、私のサックスのおかげで大活躍しますよ(笑)」

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