【競馬】追悼マンハッタンカフェ。その魂は再ブレイク中の産駒に! (5ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Kyodo News

 また、馬産地事情に明るい関係者によると、生産者の「根強い支持と再評価」という側面が、マンハッタンカフェ産駒の近年の復活につながっているという。

「(マンハッタンカフェは)社台スタリオンステーションの種牡馬ですが、社台グループよりも、日高の生産者たちによる評価がもともと高かったんです。同馬の産駒は、芝もダートもこなすし、距離も問わないうえ、(成績の)アベレージも悪くない。しかも、長い期間現役でいられるタイプが多い。それに、ディープインパクトは(種付け料が)高いけど、マンハッタンカフェ(の種付け料)なら手が届く、ということで重宝されていました。実際、レッドディザイアとグレープブランデーは社台ファームの生産馬ですが、それ以外の過去の活躍馬は、社台やノーザンファームじゃないところがほとんどなんですよ。

 そのうえで、2009年、2010年の活躍があってから、社台グループでも評価を高め、ノーザンファームが所有する優秀な繁殖牝馬への種付けを増やしたそうです。ルージュバックの母ジンジャーパンチにしても、彼女を生んだあとの2年は、続けてディープインパクトを配合するような期待の繁殖牝馬。マンハッタンカフェを付けたときも、それなりの大物を狙ってのものだったと思いますよ」

 冒頭で紹介したイモータルもまた、ノーザンファームの生産馬である。大牧場でも再評価を得た“血”だからこそ、今またマンハッタンカフェ産駒から「大物」が出てきそうなムードにあるのだろう。

 今回の訃報は、マンハッタンカフェ産駒の再ブレイクの要因を探っている最中に飛び込んできた。取材の中で、最近は病魔と戦っているという状況も伝わってきていた。見た目はあばらが浮いたような状態でやせ細っていたという。だが、そのたたずまいは、最後まで気力にあふれていたそうだ。そうした自らを奮い立たせた内面の強さが、晩年の産駒たちにも伝わっているのかもしれない。

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