【競馬】短期間でブランドを築いた小牧場パカパカファームの「強み」 (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • 写真提供●パカパカファーム

 サラブレッドの蹄は、放っておくと徐々に伸びてくるため、定期的に削らなければならない。その作業を「削蹄」というのだが、これは単に「爪を切る」といった意味合いだけでなく、削蹄の仕方によって、仔馬の脚の向きや歩き方を矯正し、癖などを直すことができる、極めて重要な作業だ。そして、蹄の状態は、気候や天候、放牧地によっても変わるため、つぶさにチェックする必要がある。ゆえに、パカパカファームでは、削蹄師を毎週呼んで、細かな蹄の調整を行なっているわけだ。

「削蹄のチェックや微調整を毎週やるというのは、他の牧場でもあまり聞かなかったので、最初は驚きました。でも、それによって馬の歩き方がガラッと変わることもありますし、体の成長や筋肉のつき方にも影響を与えます。また、削蹄などの作業をこまめにやることで、馬が人と関わる機会も増えます。その効果もあって、パカパカファームでは、人に対しておとなしい馬が多いのだと思います」

 パカパカファームでは、一日のほとんどの時間帯で、仔馬たちを放牧に出している。つまり、人の管理下に置かれる場面は決して多くない。その中で、削蹄や馬体重の計測などをこまめに行なうことは、馬と人との関係性を作るうえでも重要な役割となっているのかもしれない。

 その他にも、サラブレッドは生まれてすぐに、体内の免疫状況を調べる血液検査が必要になるが、パカパカファームでは生後24時間以内に3度、それを行なうという。こうした点からも、「細かな管理」がよくわかる。

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