【競馬】高額馬サトノダイヤモンド。大牧場でも「特別」という器

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara

 そんな背景もあって、マルペンサは現役引退後に輸入され、ディープインパクトを配合。そうして生まれたのが、サトノダイヤモンドである。血統背景を考えれば、生産したノーザンファームの期待が高いのは当然で、だからこそ2億3000万円の金額になったと言えよう。

 それから月日が経ち、デビュー前の育成を行なっても、この馬に対するスタッフの期待度は変わっていない。担当したノーザンファーム空港牧場(北海道苫小牧市)の犬伏健太氏が、同馬についての印象を口にする。

「非常にいい馬ですね。私たちのいる空港牧場の中でもトップクラスだと思っていますし、ノーザンファーム全体で見ても、ちょっと特別な馬だと感じています。春の段階ではまだ成長途上にあったので、もう少し時間をかけて、秋以降にデビューへのステップへと移りたいですね」

 国内でも屈指の規模を誇るノーザンファームにおいて、これだけの評価を受けるとなれば、楽しみは膨らむ。じっくりと成長を待つのも、素質の高さを見込んでのことだろう。犬伏氏が続ける。

「ディープインパクトの産駒は夏に伸びてくることが多いですからね。もう少し成長を待ちたいと思います。性格面では、少し気の入りやすいところは見えましたが、問題になるレベルではありません」

 高額馬だからといって、名馬になれるとは限らないのが競馬の世界。それでも、2億3000万円という値がつけられたサトノダイヤモンドへの期待はいやがうえにも高まるばかりだ。そんな生まれながらの"エリート"は、どれだけの走りを見せるのか。競馬場に姿を現す日を、じっくりと待ちたい。

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