【競馬】宝塚記念で、昨年のクラシック馬2頭が復活する! (4ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Nikkan sports

 何より、ハーツクライ自身もそうであったように、産駒も古馬になってからの驚異的な成長力が持ち味だ。4歳時の天皇賞・秋(東京・芝2000m)を迎えるまで、わずか2勝だったジャスタウェイ(国内外GI3勝)や、オープン入りが4歳秋だったアドマイヤラクティ(オーストラリアGI勝ち)のその後の活躍ぶりなどで証明されている。

 そこで4歳を迎えての2頭の競馬ぶりを改めて見ると、悲観するどころか、むしろ目を見張るべきものがある。ワンアンドオンリーが挑んだドバイシーマクラシックでは、これまでとは一転した早め早めの競馬で、ドルニヤ(牝4、前年のフランスGI凱旋門賞5着)やフリントシャー(牡5、同2着)には交わされたものの最後まで食い下がった。このとき叩き合いで3着を死守した相手が昨シーズンの香港の年度代表馬デザインズオンローム(セン5)だったことは価値が高い。

 一方のヌーヴォレコルトも、今年初戦のGII中山記念(中山・芝1800m)でロゴタイプ(牡5)、イスラボニータ(牡4)の2世代の皐月賞馬や、後に香港のGI クイーンエリザベス2世カップ(沙田・芝2000m)で2着に好走するステファノス(牡4)という強力な牡馬を相手に勝利を挙げている。

 展開面でも、ゴールドシップを前で迎え撃ち、叩き合いに持ち込めるという点も大きい。ワンアンドオンリーは前述のドバイシーマクラシックも然り、昨年の神戸新聞杯でも一旦は交わされそうになりながら、馬体を併せてから差し返す勝負根性を見せた。ヌーヴォレコルトも昨年のオークスは、追い込んできたハープスターを叩き合いで競り落とした。

 ともに、世代の頂点に立った馬の矜持(きょうじ)として復権を狙う2頭。春のグランプリで世代交代を果たし、秋の飛躍へと繋げられるだろうか。

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