【競馬】安田記念、能力全開!モーリスの勢いには逆らえない (3ページ目)

  • 土屋真光●取材・文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Nikkan sports

 この春最大の上がり馬とも評判のモーリスだが、もとより2歳のデビュー時からその素質の片鱗は見せており、高い評価を受けていた。2013年10月に京都でのデビュー戦(芝1400m)を上がり33秒8であっさり勝ち上がると、続くGII京王杯2歳ステークス(東京、芝1400m)では単勝1.5倍の断然人気を集める。結果は出遅れもあって6着と人気を裏切ったが、ここでも上がり33秒1という2歳時としては驚異的な末脚を見せた。

 自己条件に戻って2勝目をあっさり挙げたあとは、クラシック本番には駒を進められなかったものの、GIIスプリングステークス(中山・芝1800m)では0.4秒差の4着、白百合ステークス(京都・芝1800m)では後に重賞勝ちして、今年4月には香港に遠征してGIオーデマピゲ・クイーンエリザベス2世カップ(沙田・芝2000m)で2着となるステファノスから0.1秒差3着など、重賞・オープン戦線で好走を続けた。

 もっとも、この頃は素質だけで走っていたとも考えられる。本来の能力が花開いたのは、白百合ステークス後の休養期間中に当時の吉田直弘厩舎から、先週の日本ダービーを勝った現在の堀宣行厩舎に移った効果もあるだろうが、何より父母から受け継いだ『奥手の良血』によるところも大きい。

 モーリスの父スクリーンヒーローも、3歳時にGIIIラジオNIKKEI賞3歳ステークス(福島・芝1800m)2着、GIIセントライト記念(中山・芝2200m)3着と重賞で好成績を残していたが、キャリアのピークを迎えるのはGIIアルゼンチン共和国杯(東京・芝2500m)からGIジャパンカップ(東京・芝2400m)を連勝した4歳秋。その父グラスワンダーも、2歳時にGI朝日杯3歳ステークス(当時、中山・芝1600m)を制してはいるものの、GI宝塚記念(阪神・芝2200m)とGI有馬記念(中山・芝2500m)を勝ったのは4歳の時だった。スクリーンヒーローの祖母にあたるダイナアクトレスも4歳時に牡馬相手に重賞2勝を挙げ、ジャパンカップでは日本馬最先着の3着に好走した。その代表産駒であるステージチャンプも、重賞初勝利は4歳のGII日経賞(中山・芝2500m)だった。

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