【競馬】小牧場に3つ目の勲章をもたらしたクラリティスカイの半生 (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • 村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

「社長(スウィーニィ氏)はもちろん、スタッフみんなも『NHKマイルCはきっと勝てる』と信じていました。だからこそ、レースの数日前から、あえてクラリティスカイについて話すのを避けていましたね。口に出してしまうとダメな気がして、なるべく"普段どおり"を心掛けていたんです。ディープブリランテでダービー(2012年)を勝ったときも、直前はそんな雰囲気でした」

 そうした牧場スタッフの思いが通じたか、クラリティスカイはレース本番で素晴らしい走りを披露した。

 好スタートを切ったあと、道中では行きたがるシーンを見せながらも、何とか我慢。好位の5番手をキープして、そのまま直線を迎えた。そこから、鞍上・横山典弘騎手のムチが飛ぶと、それに応えるようにクラリティスカイは力強く加速。残り200mからは無敗馬アルビアーノとの壮絶な叩き合いを繰り広げ、ゴール前できっちり交わして先頭でフィニッシュしたのだ。

 パカパカファームにとっては、ピンクカメオ(2007年NHKマイルC優勝)、ディープブリランテ(2012年日本ダービー優勝)に続く、3頭目のGI馬誕生となった。

 この日、スウィーニィ氏は東京競馬場に出向き、歓喜の瞬間に立ち会った。彼も「普段どおり」を心掛けていただけに、帰りの飛行機はいつものように夕方発の便を予約。レース後、すぐに北海道へ帰る予定にしていたという。が、さすがにGI勝利の興奮は早々に冷めるものではない。関係者の祝福攻めにあって、飛行機の予約を変更。結局、その日の最終便で北海道に帰った。

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