【競馬】ダービー戦線の新星、レーヴミストラルが背負う「野望」 (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Nikkan sports

 同馬を管理するのは、栗東トレーニングセンター(滋賀県)の松田博資厩舎。ここへ来ての快進撃について、陣営は「体質強化により、力を出せるようになってきた」と話しているという。その点について、関西競馬専門紙のトラックマンが説明する。

「3走前から、レーヴミストラルの体重がレース毎に増えているんですよ。特に青葉賞では、初めて関東圏への長距離輸送をこなしたにもかかわらず、プラス体重でした。陣営は、この点に同馬の体質強化を感じていて、『もともと素質は感じていたが、体がしっかりしたことで、やっとそれをレースで出せるようになってきた』と分析しています。まだまだフォームなどには未熟な部分もあるようですが、逆に言えば、ダービーに向けて、さらに良化する余地を残している、ということではないでしょうか」

 同馬を管理する松田調教師は、来年2月で定年を迎えるため、今年が最後の日本ダービーとなる。まだその美酒を味わっていない同師にとって、まさしくこれがラストチャンス。レーヴミストラルで挑むダービーは、調教師生活の集大成となるだろう。前出のトラックマンが、そんな陣営の意気込みを伝える。

「唯一の不安点として、陣営は『青葉賞に続いて、短期間のうちに再度、長距離輸送をこなさなければいけないことが心配』と話しています。そうは言っても、経験豊富な厩舎ですからね。すでに輸送に対しての対策は練っているようです。

それ以上に、陣営としては期待のほうが大きいのではないでしょうか。『ダービーと同じ舞台の前哨戦を勝てたことが大きい』と、手応えを感じていましたからね。そして何より、レーヴミストラルは折り合いや距離に対する不安がありません。皐月賞組は確かに強いと思いますが、それらのライバルが、折り合いや距離に苦労するようであれば、ひと泡吹かせるシーンがあってもおかしくないと思いますよ」

 競馬界最高峰の"夢舞台"日本ダービー。レーヴミストラルは、一族の悲願を、そして名トレーナーの大願を成就することができるのか。5月31日、決戦の火ぶたが切られる。

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