【競馬】天皇賞・春。穴馬は、躍進「日経賞組」の中にいる

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 春と秋、年に2回行なわれる伝統のGI、天皇賞。京都を舞台とする春の一戦が、5月3日に開催されます。1984年から東京・芝2000mに距離が短縮された秋のレースと違って、春は昔と変わらず、芝3200mという伝統的な距離で争われます。

 しかしその分、このタイトルに向けての各陣営の執着は、相当弱まっているように思えます。近年の競馬界はスピード志向が強まって、種牡馬の価値もマイル(1600m)から中距離あたりの実績が重視されるようになってきているからでしょう。

 そのため、伝統の一戦にもかかわらず、最近ではトップホースの回避も目立ってきました。昨年で言えば、ジャスタウェイが安田記念(東京・芝1600m)へ、ジェンティルドンナが宝塚記念(阪神・芝2200m)へと向かいました。3月にドバイ遠征があったとはいえ、もしも天皇賞・春が、秋と同じ2000mの距離で行なわれていれば、異なるローテーションを組んでいたのではないでしょうか。

 さて、今年も危うく"GIIレベル"のメンバー構成になりそうでしたが、直前になって、ゴールドシップ(牡6歳)が参戦を表明。ダービー馬のキズナ(牡5歳)と、何とかGI馬2頭が顔をそろえました。

 とはいえ、全体的なレベルは、決して高いとは言えません。3頭もの牝馬が出走するのも珍しいことです。近年、確かに牝馬のレベルは上がっていますが、今回出走する3頭はすべてGI未勝利馬。古馬の混合重賞さえ、勝っていません。それでも出走してくるのは、「今年ならチャンスがある」と思ってのことでしょう。つまり、その程度のメンバー構成ということになります。

 そうした状況にあって、まず注目すべきは、やはりゴールドシップ。能力は間違いなくトップクラスです。ただ、競馬ファンならご存知のとおり、ゴールドシップはとにかく"気分屋"。前走の阪神大賞典(1着。3月22日/阪神・芝3000m)では気持ちよく走っていましたが、その前のAJCC(1月25日/中山・芝2200m)では何の見せ場も作れず、7着に敗れています。

 もちろんゴールドシップにも、得意な距離、得意なコースというのがあると思います。それでも、普通はあれほどの脚力を持っていれば、どんな不得手な条件でも格好はつけるもの。結局、それができずにあっさりと敗れてしまうのは、負けるレースではまったく力を出していないということ。まさに、気分次第なのでしょう。

 そんな"気分屋"のゴールドシップですが、今回の鞍上を務める横山典弘騎手とは相性がいいと思います。ひょっとすると、思い切って逃げるかもしれません。これまでとは違う競馬なら、それが刺激となって真面目に走る可能性があります。何にしても、この馬は気分次第。勝ち負けは、すべてそれに左右されると思います。

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