【競馬】天皇賞・春、日欧の名血の結晶アドマイヤデウスが飛躍する (3ページ目)

  • 平出貴昭(サラブレッド血統センター)●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by AFLO

 父系だけでなく、母系も素晴らしい。現役の兄アドマイヤドバイはGIIIきさらぎ賞3着など3歳時に重賞戦線で活躍。母の弟にはアドマイヤホープ(GI全日本2歳優駿)、アドマイヤフジ(GII日経新春杯など重賞3勝)、アドマイヤコスモス(GIII福島記念)と3頭の重賞勝ち馬が出ている。祖母アドマイヤラピスもGIIステイヤーズSで後の天皇賞馬メジロブライトの2着に入り、芝3000mのオープン特別・嵐山Sを勝利した活躍馬で、牝馬では珍しいステイヤーなのだ。

 さらに牝系を遡(さかのぼ)ると、日本ダービー馬フサイチコンコルド、皐月賞馬ヴィクトリー、アンライバルド、GIオークスのエリンコート、米GIBCターフや英GIキングジョージ六世&クイーンエリザベスSを勝ったコンデュイット、愛GI愛2000ギニーのスペクトラム、英GI英オークス馬サンプリンセスと、“これでもか”というくらいに日本と欧州で活躍馬を送り出している世界的名牝系。アドマイヤデウスは、名牝ベガと欧州の名門の血を受け継ぐ、いわば“日本と欧州の誇る名血の結晶”と言うべき血統なのだ。

 この図式は何かに似ているな、と思い出したのが1996年の天皇賞・春の勝ち馬サクラローレル。欧州の名種牡馬レインボウクウェスト産駒の持ち込み馬でもある同馬も、欧州の名門牝系出身で、骨折明けの中山記念を勝利して3番人気で天皇賞・春に臨むと、ナリタブライアンとマヤノトップガンの一騎打ちムードの中、2馬身半差を付けて快勝した。

 今年は当時ほどの一騎打ちムードではないが、「骨折明け」「GI未勝利」「前走で重賞勝ち」などこの2頭には共通点が多い。今年の天皇賞で、アドマイヤデウスが覚醒し、“第2のサクラローレル”となるか注目したい。

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