【競馬】天皇賞・春、日欧の名血の結晶アドマイヤデウスが飛躍する (2ページ目)

  • 平出貴昭(サラブレッド血統センター)●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by AFLO

 破った相手も、前述のフェノーメノ、ウインバリアシオンの他、昨年の天皇賞・春3着のホッコーブレーヴ、菊花賞2着馬サウンズオブアースなど強豪揃い。それらを1馬身3/4も離して勝利したのである。

 今回のメンバーでは唯一、重賞2連勝で臨むことになり、勢いはピカイチ。そして、前述のように前年の中心馬が揃っていることもあり、人気は分散して、気楽な立場で臨めるのは有利に働きそう。距離に関しても、日経賞ではややズブさ(反応の鈍さ)を見せていたくらいで折り合いに不安はないし、距離延長はプラスだろう。

 血統を見てみよう。父アドマイヤドンはGI朝日杯フューチュリティSを勝った2歳王者ながら、その後GI6勝とダート戦線で大成した馬。南関東のクラシックレース・羽田盃を勝ったアウトジェネラルなどを出してはいるものの、本馬が初のJRA重賞勝ち馬だったように、それほど実績のある種牡馬ではない。その父ティンバーカントリーも、アメリカの2歳チャンピオンでありクラシックホースだが、日本では大物を出しているわけではないので、父馬だけ見れば、やや地味に感じてしまうかもしれない。

 もう少し突っ込んだ見方をしてみよう。アドマイヤドンは桜花賞、オークスを勝った名牝ベガの仔で、ダービー馬アドマイヤベガの半弟。姪には現役の桜花賞馬ハープスターがいる良血馬なのだ。種牡馬にとっては自身の競走成績だけでなく、血統の良さも大きな武器になるもの。今年は、三冠馬ディープインパクトの全兄ブラックタイドがキタサンブラック(GIIスプリングS)を出したり、祖母に名牝ダイナアクトレスを持つスクリーンヒーローがモーリス(GIIIダービー卿CT)を出すなど、"良血種牡馬"が期待以上に活躍馬を出している。アドマイヤドンもそのうちの1頭と言っていいだろう。

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