【競馬】父譲りの「後方一気」でダービー狙う、レッドライジェル (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Nikkan sports

 レッドライジェルの特徴は、道中ポツンと離れた最後方を追走し、直線で一気に追い込む"父親譲り"のレーススタイル。そもそも、同馬の"精神的な弱点"から生まれた戦法だったが、ダービーへ向けては、「それが大きな武器になる」と陣営は見ている。先述のトラックマンが続ける。

「レッドライジェルはかなり臆病な性格で、ゲートを怖がって出遅れたり、レース中にも他馬を気にして怯(ひる)んだりするところがあったようです。それで、思い切って最後方から追い込むスタイルにしたのですが、結果的にこれが、同馬が秘めていた末脚の爆発につながりましたよね。そして、青葉賞やダービーの舞台となるのは、直線が長くて、広々とした東京競馬場。同馬の戦法が、余計に生かされるのではないでしょうか。あるスタッフによれば、『最近は、馬自身も自信を持ってきて、臆病な面が少しずつ解消されてきた』とのこと。今後がますます楽しみです」

 数々のGIタイトルを獲得してきた藤沢調教師。しかし、ダービーの栄冠はいまだ手にしていない。2着の経験は2度があるが、あと一歩で涙を飲んでいる。2着にとどまった2頭は、のちに名馬の仲間入りを果たすことになる、シンボリクリスエスとゼンノロブロイ()。実は2頭とも、山吹賞、青葉賞と連勝して、日本ダービーに駒を進めた。
※シンボリクリスエスは天皇賞・秋、有馬記念などGI4勝。2002年、2003年と2年連続で年度代表馬に輝く。ゼンノロブロイは2004年秋に、天皇賞・秋、ジャパンカップ、有馬記念と「秋の古馬三冠」を達成。同年の年度代表馬となる。

 同厩の偉大なる先輩たちと同じ道をたどってダービーを目指すことになるレッドライジェル。名トレーナーのダービー初制覇の夢を叶えることができるのか。まずは、青葉賞で大一番への切符を狙う。

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