【競馬】「別路線」から3歳女王の座を狙うミッキークイーン (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • 村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

「勝って賞金を加算できたのはもちろん、距離延長に対応してくれたことも、陣営にとっては大きかったようです。忘れな草賞の走りを見て、『これなら、オークスの2400mもまったく問題ない』と、自信を深めていました。現在は、一旦放牧に出ていて、オークスの2週間前にトレセンに戻して調整を進める予定。次の大一番には、万全の態勢で臨めそうです」

 オークスに向けて、希望が膨らむミッキークイーン。だが、気になる点もある。それは、クイーンCの際に大きく減らした馬体重だ。オークスの舞台は、そのときと同じ東京競馬場で、再び長距離輸送を強いられる。そこで、またも馬体重を減らしてしまう心配はないのだろうか。

 この点についても、陣営はそこまで悲観的になっていないという。先述のトラックマンが続ける。

「陣営によると、クイーンCの馬体重は、東京への輸送で減ったわけではないらしいんです。もともとミッキークイーンは食いが細く、輸送をする前の時点ですでに細くなっていたようなんですね。ただ、最近は飼葉(かいば。馬の飼料のこと)の配合を替えたり、与えるタイミングを工夫したりして、しっかり食べるようになってきたとのこと。だから逆に、陣営は『オークスでは少し馬体を増やして出たい』と言っているくらいです」

 もともと素質の高さには定評があったミッキークイーン。ここまで4戦2勝(2着2回)という安定したキャリアを残してきた。それも、馬場が悪かったり、出遅れたりと、常にタフな条件で、決してベストの走りができていない中でのものだ。快勝した忘れな草賞も、良馬場とはいえ、水分を含んだ馬場状態だった。

 ゆえに、陣営は「まだまだ伸びしろがある」と見ていて、オークスへの期待も増しているようだ。実際、体調管理がうまくいって、パンパンの良馬場でレースが行なわれれば、さらにパフォーマンスを上げられるはずだ。

 人気の実力馬がことごとく馬群に沈んだ桜花賞。今や3歳牝馬路線は"主役"不在となった。桜花賞に出られなかった悔しさを秘めるミッキークイーンが、オークスでその役割を果たし、"樫の女王()"に輝いてもおかしくない。
※オークスの勝ち馬のこと。

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