【競馬】棋王・渡辺明が忘れられない「痛恨の日本ダービー」 (5ページ目)

  • 河合力●構成 text by Kawai Chikara
  • 村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

 そして、レースが再生され、ゴール前のスローモーションが流れると、僕は凝視しました。タッ、タッ、タッ……画面がゆっくりと移り変わっていくと、“悪夢”が待っていました。ゴール前でアポロソニックの鼻先が出ているのが、はっきりとわかりました。その瞬間は、ただただショックでした。まさしく、がっくりと肩を落としましたね。

 実はこの日、僕はテレビの取材も受けていたんです。数日後に福永祐一騎手との対談企画が予定されていて、その一環として、僕がレースを観戦する様子も撮影していたんです。がっくりと肩を落とす姿も、バッチリ撮られていましたね。後日、放送された番組では、福永騎手が騎乗していたエピファネイアが2着に敗れて悔しがっている、という体(てい)になっていましたが(笑)。

 春のクラシックと言えば、このとんでもない悔しさを味わった、2013の日本ダービーが何より印象的。こうやって話をしているだけでも、またあのときの痛恨の思いがよみがえってきますからね。

 さて、今年のダービーはどうなのか。これから、細かく前哨戦を精査して、検討していきたいと思います。まあ、そうは言っても、なかなか当たらないんですけどね(笑)。

  渡辺 明(わたなべ・あきら)
1984年4月23日生まれ。東京都出身。プロ将棋棋士。15歳でプロ入りすると、数々のタイトルを獲得した。なかでも「竜王戦」については、2004年〜2012年に9連覇を達成。史上初となる「永世竜王」の資格も取得している。現在は、「棋王」のタイトルを保持。競馬には愛着が深く、馬券とともに一口馬主としても何頭かの競走馬に出資している。

5 / 5

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る